日本性感染症学会誌

Online ISSN: 2434-2505 Print ISSN: 0917-0324
日本性感染症学会
〒162-0801東京都新宿区山吹町358-5アカデミーセンター
Japanese Journal of Sexually Transmitted Infections 30(1): 67-72 (2019)
doi:10.24775/jjsti.O-2019-0002

原著

フルコナゾール150 mg経口療法の外陰・腟カンジダ症における位置づけ

1京都府立医科大学医学部看護学科医学講座産婦人科学

2岩破医院

3京都産婦人科医会

4京都府立医科大学

受付日:2019年3月5日
受理日:2019年7月12日
発行日:2019年10月29日
HTMLPDFEPUB3

【目的】外陰・腟カンジダ症に対しては、腟錠、腟坐剤、クリームの局所療法が行われているが、我が国でもフルコナゾール(ジフルカンカプセル:ファイザー株式会社)150 mg単回経口投与が承認された。外陰・腟カンジダ症に対するフルコナゾール150 mg単回経口投与の有効性および安全性を検討した。【対象と方法】2015年8月1日から2017年12月31日までに、外陰・腟カンジダ症の自覚症状を訴え受診し、外陰・腟カンジダ症と診断しフルコナゾール経口投与により治療した204例の治療効果について観察をした。なお、各開業医の先生方には、治療には腟錠・クリーム・経口薬があるが、いずれの方法かを患者様自身に選択してもらい、患者様すべてがID化された情報で、個人が全く特定できない状態で検討している。【結果】204例の中で、培養検査にてCandida属を認めた191例192株で検討をした。全般臨床症状改善度は、191例で消失93例、改善72例であった。真菌学的検討は、191例、192株で消失率83.3%、存続16.1%であった。C. albicans 166株では、消失151株、存続15株、C. glabrata 18株で、消失6株、存続12株、C. tropicalis 4株で、消失1株、存続3株、C. parapsilosis 2株で、消失2株、C. guilliermondii 2株で、存続1株、C. parapsilosisに菌交代1株であった。全般改善度は、191例で著効164例、無効27例であった。有害事象は、胃痛1例、発熱1例、下痢1例であった。腟錠などの局所療法治療中には、月経時に中止をせざるを得ない場合が多いが、今回の検討では、1週間以内に月経があった症例を191例中22例に認めた。【結論】フルコナゾール150 mg単回経口投与は、外陰・腟カンジダ症に対して、局所投与剤に比べて簡便で、コンプライアンスに優れ、月経に無関係に治療可能な新たな治療薬である。鏡検を行い、仮性菌糸が伸びていればC. albicansであることが多いので、フルコナゾールを内服し、同時に培養検査も行い、1週間後に再診し、症状の消失や腟分泌物の状況を確認後、必要があれば腟錠の追加投与を行うことなど、経口薬を使用する意義は大きいことが示唆された。

Key words: vulvovaginal candidiasis; oral fluconazole

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